ビギナー向け新NISAでのポートフォリオ

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先日、知り合いから資産運用の取り組み方についての相談を受けました。
当然非課税口座であるNISA、そして60歳までのCFに余裕がありロックされても良い資金についてはiDeCoを組み合わせる形での運用が第一選択肢となります。

資産運用自体が初めてで、外貨の扱いに不安があるが、積立感覚で子供の教育資金や自分たちの老後資金を用意したいというニーズが中心です。

そういったタイプの方に対しては新NISAではそのようなポートフォリオが最善か考えていきたいと思います。

お勧めは現金と世界株だけのシンプルなポートフォリオ

安全資産については円預金、リスク資産については世界株インデックス一本という形が最もシンプルで最低限でありながら十分ニーズを満たすポートフォリオです。資産運用に多くの時間やエネルギーを割かずに効率的に大きくしていきたいという場合はこちらが一番お勧めだと思います。特に40代くらいまではこれで良いと思います。

定期的なインカムが欲しいとなると配当が出るタイプのETFや、特にインカムの金額を固定したいという場合は債券を検討する必要があるでしょう。

現金は銀行預金でよい

生活防衛資金は月間生活費の3~6か月分を用意することが推奨されています。個人的には失業保険等あるにしてもそのような場合を考慮すると6か月が安全かと思います。

または、現金として遊ばせておくのはもったいないので、そのうち半分程度は現在であれば元本変動はほぼ無くすぐに現金化できるMMF(Money Market Fund)に半分程度置いておくという選択肢もあると思います。ブラックロックの商品では4.7%ほどの金利が付きます。しかし、ドル建てであること、一応運用商品であることから、安全資産は預金のままでリスク資産として世界株インデックスを取り入れることから始めるのがファーストステップは良いと思います。

現金代わりに国債を購入するのはやっても良いがメリットが少ない

現金の代わりに国債での運用を勧める方もいらっしゃいます。円建てで一番信用力が高いのは日本国債になりますが、現在の国債の最低利回りは年率0.05%です。しかも、当初1年は換金できないこと、途中換金の場合は直近1年分(半年×2回)分の利子が差し引かれることを考えると流動性も高くないように思います。

NISA口座では保有できませんので現金代わりとして特定口座で保有するとしても魅力が薄すぎるように思います。

世界株インデックスは投資信託がおすすめ

では世界株インデックスは、どのような形で保有するのが良いでしょうか。
外貨になじみがない方の場合は、円をドル転したり、運用中もドル建てで保有したりという部分でドルを自分で管理することに不安があるようです。そのような方の場合は、少なくともドル建て取引となる海外ETFよりも円建ての東証ETFか投資信託となり、特に将来の資産形成を目的とする場合には、配当金が出されず自動的に再投資となる投資信託が有力な選択肢となります。

また、月次の積立額が大きくない場合は、口数単位での購入となるETFは月額投資額の調整が必要となったり、特にNISAの積立投資枠ではETFは対象外であったりと煩雑になることから、投資信託一本での管理が手間がかからずお勧めです。

具体的な商品としては、常時買付金額ランキング上位に入っているeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)で良いと思います。資産規模が大きく実績もあるため同様の新商品よりも繰り上げ償還リスクを気にする必要もありません。

野村証券が新NISAにむけて「はじめてのNISAシリーズ」を出していおり、その中に世界株インデックスの商品もあります。信託報酬はeMAXIS Slim全世界株式の半分程度ですが、既に十分低い水準ですので様子を見つつ何か情勢が変わるまではeMAXISの方で良いと考えています。

インデックス商品は投資信託、東証ETF、米国ETFのどれが良いかについてはこちらで記事にしています。

バランスファンドはどうか?

NISAでは債券のみのファンドに投資することはできませんので、債券に投資をしたい場合は株式も含めたバランス型ファンドに投資することになります。資産運用では投資対象を商品と地域の2つの軸で分けて、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、の4つに区分するのが一般的であり、この4つが「伝統的資産」と位置付けられています。世界株だけではなく、バランスファンドという形で国内株式、国内債券、外国株式、外国債券に投資をした方が良いのでしょうか。

混ざったままでは分かりにくいので、積極的に投資すべき対象かどうか構成内容を1つずつ検討していきます。

国内株式はやや不安

日本株の場合は、個人的には今後インフレが続いた場合に、そのインフレ分上昇する可能性があると考えていますが、成長をドライバーとして長期右肩上がりに価値が上昇するかどうかという点で不安があります。短期の値幅取りではなく、長期保有での資産形成の場合は投資対象を右肩上がりのものにすることは絶対条件ですので、この点で特に安全志向の方向けには日本株インデックスは積極的に採用し難いです。

以下が日経225、世界株インデックスとしてVanguard社の世界株ETFであるVT、S&P500の長期チャートです。VTは2008年からしかありませんので参考にS&P500のチャートも掲載します。世界株の60%は米国株になります。VTとS&P500のチャートは上昇トレンドです。

<日本株チャート1980年~>

<Vanguard世界株ETF VTチャート(トータル・ワールド・ストック2008年設定来~)>

<S&P500チャート 1980年~>

国内債券はトータルリターンがマイナス

国内債券インデックスの代表例として「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内債券インデックス」を見てみます。
2022年以降は債券と株が同時下落した珍しい年であると言われますが、元本固定で金利を受け取ることが目的の債券においてトータルリターンがマイナスというのは、役割を果たしていないように思います。

出典:SBI証券

個人的にはこの理由で債券は個別の複数銘柄を格付けと利回りのバランスを見ながら満期保有する方法を選好しています。予め決まった期間で額面で帰ってくることが債券の良さであると考えているためです。

外国株式は世界株インデックス

外国株式は前述の世界株インデックスファンドになります。日本は5%程度ですが、日本株を別途保有しない予定であれば日本株を含む世界株ファンドで良いと思います。

外国債券は唯一検討価値あり

代表例として「ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド」を見ていきます。これは日本を除く主要国の国債に投資することにより、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)に連動する投資成果を目指したものです。2020年まではボックス圏ですが、そこから上昇トレンドに入ってきています。2022年以降の上昇は円安の影響も大きいでしょう。

出典:SBI証券

トータルリターンは5年で4.02%です。

外国株式に加えて採用するとすればこの外国債券だけで良さそうです。

結論:世界株と現金のポートフォリオで十分

外国株を除いた3資産のうち外国債券だけは追加で検討しても良さそうでしたが、分配金もないためインカム目当てに使える訳でもなく、値動きもあります。現金と株の中間の存在ですので、もう少しリスクを増やしたければ世界株を増やすという調整の方法もある訳ですし、結論として世界株+現金のポートフォリオでのバランスで十分に役割を果たせるように思います。

何よりシンプルですので管理が楽です。特に初めて資産形成に取り組むという形にはこのシンプルなポートフォリオをお勧めします。

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MISA

MISA

第1子出産後、保育園に入れなかったため2011年から投資を開始。3児の母でワンオペ育児中。FXからスタートし徐々に時間を使わずにお金を生んでくれる資産の構築にシフト。インデックス投資、太陽光発電、海外不動産、国内不動産、個別債券、海外保険、FX。マイクロ法人運営。
保有資格:証券外務員1種、米国証券外務員、AFP、宅地建物取引士

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