子供の夏休みが終わり、ようやく少し自分の時間が取れるようになりました。
この期間に気になったことを調べていきたいと思います。
まずはインド株ですが、何回かに分けて書きたいと思います。
目次
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インド株チャートの形状は長期投資に向いている
チャートを見て一目瞭然なのは「長期右肩上がり」であること。長期資産形成に向けては上昇トレンドであることが必須条件ですが、この点で積立投資の対象に加える価値があるのではないかと思っています。また、これから伸びていく新興国なので先進国の米国とは違う性質を持っていると思われ、分散の対象として良いのではと思っています。
インド SENSEX10年チャート
10年で約3倍以上になっています。
インドネシア ジャカルタ総合指数10年チャート
比較のために他のアジア新興国のチャートを見てみます。インドネシアのジャカルタ総合指数もやや右肩上がりで10年で約1.5倍になっています。インドネシアはゴールドマン・サックスのGDP予想ランキングでは2050年にはインドの次で第4位に入っています。この時日本は第6位です。
中国 上海総合指数10年チャート
中国はこの期間のGDPの伸びは著しいものの、株価は伸びていません。
フィリピン総合指数10年チャート
フィリピンも人口は増えていますが、株価はほぼ横ばい、直近についてはやや下落傾向です。
新興国が総じて伸びている訳ではなく、インドの株価成長はそれらの中でも注目に値することが分かります。
人口成長、GDPの伸びが株価に反映される国かもしれない
この20年程で急速な経済成長を遂げた新興国といえば中国ですが、中国のGDPは下記チャートのように平均8%程度の成長率で伸びてきました。しかし株価にはほぼ反映されていませんので、新興国の成長を株式で取り込むのは難しいのだろう、あるとすれば都市部での不動産購入だろうと考えていました。(中国のGDPにおける不動産の占める割合は30%と高いです)
しかし、インドに関してはチャート形状を見る限り株式投資でこの成長を取り込める可能性があると思います。その違いがどこにあるのか、一つは政治体制の違いは大きいとは思っています。インド人と話しているとモディ首相は国民に支持されており大変人気があることを感じます。こういった強いリーダーシップの元で資本主義寄りの政策を行っていることがGDP成長が株価上昇につながっている一つの要因かと考えます。
中国については、関連したことを通貨の観点から以下の記事で書きました。
世界におけるインドの人口とGDPの位置づけ予想
人口:中国を抜いて現在世界1位、今後もしばらく増加の見通し
今年インドは中国を抜いて人口で世界1位になりました。今後も2060年頃まで増加が予想されています。中国はそろそろカーブが下向きになってきます。米国も含まれているチャートを探しましたが、良いものが見つかりませんでした。米国は現在3.3億人ですが、先進国でありながら2050年に向けて4億人に漸増することが予想されており、これは米国の強さを将来に渡って支える要因です。
GDP:2075年には米国を抜く見通し
GDPランキング予想では現在第5位ですが、2050年には米国に次ぐ第3位、2075年には米国を抜いて第2位になることが予想されています。
2021年以降の実質GDP水準予想(兆米ドル)では、現在第5位といっても米国や中国との差はかなりあり、その立ち上がりまではしばらくかかりそうです。同時に米国の着実なGDP上昇予想も目につきます。(日本の上昇カーブはユーロエリア全体よりも緩やかですね。)
インドの一人当たりGDP、耐久消費財普及率は1970年代の日本
2021年のインドの国民一人当たりGDPは2,257米ドル、耐久消費財普及率は以下の通りで1970年代の日本と同じ水準にあるようです。
日本の高度経済成長期は実質経済成長率が年平均で10%前後を記録した1955年頃から1973年頃までを指しますが、日経平均は10年ほど遅れて1968年頃から上昇しています。
モディ政権の政策がインドの経済成長を後押し
モディ首相は2014年の就任時から以下に代表される経済政策を推進してきました。
モディ政権による政策
- Make in India : インドはGDPに占める製造業の割合を2025年に25%に引き上げる目標を掲げており、これにより新たな雇用の創出や輸出の拡大による貿易赤字の縮小を狙っています。
- FDI(外国直接投資)の規制緩和: 多くの産業で外国直接投資の規制が緩和され、外資の参入が容易になりました。
- GST(Goods and Services Tax、商品サービス税)の導入: 2017年に導入されたGSTは、税制を簡素化し、国内での商品・サービスの流通をスムーズにしました。
- インフラ投資の促進: 道路、鉄道、空港、港湾などのインフラ整備が進められました。
政策の効果
- Ease of Doing Business Ranking: 世界銀行の事業環境ランキングで、インドは短期間で大きく順位を上げました。2014年の段階では142位でしたが、2019年には63位となり、79位も順位が上がりました。
- 外国直接投資(FDI)の増加: 規制緩和と積極的なプロモーションにより、外国からの投資が増加しています。FY 2014-15には インドへのFDIは$451.5億でしたが、FY2016-17には$ 602.2億、FY 2021-22には過去最高の$ 835.7億に8年間で約85%増加しました。
FY2022-2023の間でFDIを行ってきたトップ5の国は、モーリシャス (26%)、シンガポール (23%)、 USA (9%)、オランダ (7%)、日本 (6%) となっています。
同様にセクター別ではサービス業(金融、銀行、保険、非金融/ビジネス、アウトソーシング、研究開発、宅配便、技術試験/分析)(16%)、コンピューター・ソフトウェア/ハードウェア(15%)、貿易(6%)、通信(6%)、自動車産業(5%)でした。
ただしメイク・イン・インディアで目標にしているGDPに占める製造業の割合は2020年時点でまだ17%と必ずしもうまくいっていない面もあり、成否が混在している状況と思われます。
西側諸国の脱中国の動きでインドは拠点移転先の有力候補
米中対立の激化やウクライナ情勢により、欧米諸国がサプライチェーンから中国を外し、新たな移転先を求める過程でインドは有力な候補となっています。
アマゾン、アップル、グーグル、テスラ、サムスンなどの企業がインドに直接投資を行っています。
アマゾンはこれまでに110億ドルを投資してきましたが、モディ首相の2023年6月米国訪問後2030年までに追加で150億ドルの投資を発表しています。
同様に、アップルはインドを「大きなチャンス」と捉えていると発言、マイクロンやアプライドマテリアルなどの半導体メーカーもインドへの大きな投資を表明し、テスラはインド進出について「インベスト・インディア」関係者と協議していると報じられています。
一方でアップルに関しては9月8日に政府機関や国有企業に対してiphoneの使用を禁止する措置を取るという報道がなされるなど中国リスクが表面化しています。
これらを踏まえるとインドは総じて有望な投資先であるとは言えそうですが、具体的に投資する場合にどのような方法が良いか、次に検討していきたいと思います。