長期投資で米国株一辺倒を避けるべき理由

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先日はインド株を積立に加えることの検討を行い、その中で他の地域、特にヨーロッパ株のここ20年程のパフォーマンスを見てきました。これまでの実績で優れたパフォーマンスを残している国、今後継続的な発展が望める国に投資すること自体は良いと思いますが、米国株一辺倒で投資をするのは避けた方が良いと考えています。

百聞は一見に如かずなので、以下にその理由を端的に示しているチャートを載せていきたいと思います。

100年の視点:経済覇権国家には栄枯盛衰がある

こちらは1899年から2023年にかけて、株式市場全体を100%とした時に、どの時期にどの国の株式市場が何パーセントを占めていたのか、その変遷を示すチャートになります。

出所:Credit Suisse Global Investment Returns Yearbook 2023 Summary Edition
Copyright © 2023 Elroy Dimson, Paul Marsh and Mike Staunton



1900年頃最も大きな株式市場は英国で24%、次いで米国15%、ドイツ13%、フランス11%と続いていました。当時は英国が一番大きなシェアを占めていますが、特定の国が過半数を占める状態ではなく、割と各国に分散していました。

この頃は世界の覇権がオランダからイギリスに移行していった時期です。
下の図に経済覇権の大まかな変遷が掲載されています。

1600~1800年代初頭頃はオランダが経済覇権を持っていましたが、産業革命がおこると徐々にイギリスに覇権が移っていきます。1900年頃はちょうどパクス・ブリタニカの時代です。

出所:日経新聞

しばらく英国の覇権の時代が続きますが、1900年代初頭に米国の株式市場が英国を抜き去りその後は米国が最大のシェアを占めています。

しかし1990年頃は一時期ですが、日本が最大の市場となっています。ピーク時には、日本は世界のインデックスの40%を占め、これに対して米国は29%でした。その後、パフォーマンスが低い時代が続き、現在の日本のウェイトはわずか5%に低下しています。

以下は1899年時点と2023年の株式市場の割合をパイチャートで示したものです。
スナップショットで見るとその違いが良く分かります。


出所:Credit Suisse Global Investment Returns Yearbook 2023 Summary Edition
Copyright © 2023 Elroy Dimson, Paul Marsh and Mike Staunton

このように、米国はここ100年程最大の市場ではあるものの、各国のシェアには時代と共に変化があります。現在は米国経済は圧倒的な強さを誇っており世界株インデックスの60%を占めていますが、自分が生きている間ずっとこの状態が継続するかは未知です。

10年の視点:直近10年は先進国、その前は新興国の時代

上記は100年単位の覇権の変遷ですが、10年単位でもパフォーマンスの良い地域はその時々で変わってきます。

下記はは2013年から2022年の10年間の株価のパフォーマンスを示すチャートです。
青:米国、CAGR 11.96%
オレンジ:米国を除く先進国、CAGR 4.92% 
黄色:新興国、1.38%
(*インフレ調整なし)

多くの方が認識されているように、ここ10年は米国が最もパフォーマンスが良かった時代です。

こちらは2003年から2012年の10年間のパフォーマンスを示すチャートで、直近10年とは結果は異なってきます。
青:米国、CAGR 7.83%
オレンジ:米国を除く先進国、CAGR 8.45% 
黄色:新興国、CAGR16.20%
(*インフレ調整なし)
その前の10年間は新興国が米国やその他先進国をアウトパフォームしていたことが分かります。

今後10年はどうなるか分かりませんが、同じような米国の成長は続かないのではないかとという論調は多く見られます。

例えば、ゴールドマンサックス証券は「The Path to 2075 — Slower Global Growth, But Convergence Remains Intact(2075年への道 – 世界成長は鈍化、しかし収束は維持される)」と題したレポートで、「繰り返されそうにない米国の例外主義の10年:過去10年間、米国の相対的パフォーマンスは予想以上に強かった。しかし、歴史が示唆するように、今後10年間、米国がこれを繰り返す可能性は低い。米国の潜在成長率は依然として主要新興国に比べて著しく低く、ここ数年の例外的な米ドル高の一部は今後10年間で巻き戻されると予想される。(DeepL翻訳)」としています。

世界株でまとめるか、米国株とその他地域を組み合わせるか

今後も基本的には米国は世界経済の中で重要な位置を占めていくと考えています。

しかし、歴史を振り返ると各時期でのスナップショットで捉えたトップの国だけに投資をしていた場合、その後の世界の繁栄を取り逃していたことは確かでしょう。

米国株を中心に据えることは問題ないと思いますが、それに100%投資をしていた場合は仮に今後新興国の時代が来た場合には寂しいパフォーマンスになると思われます。特に今後は人口が増加していくグローバルサウスの時代が来ると言われています。

数十年単位での長期での資産形成を考える場合には、その間の世界経済の変遷にも耐えらえるようにある程度の国の分散をしておくことが望ましいと考えています。
全世界株で自動的に地域分散を図るのは最も手軽な方法ですし、自分の強いビューと投資にかける時間がもしあれば米国株中心にその他地域を選別して追加していくのも手だと思います。

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MISA

MISA

第1子出産後、保育園に入れなかったため2011年から投資を開始。3児の母でワンオペ育児中。FXからスタートし徐々に時間を使わずにお金を生んでくれる資産の構築にシフト。インデックス投資、太陽光発電、海外不動産、国内不動産、個別債券、海外保険、FX。マイクロ法人運営。
保有資格:証券外務員1種、米国証券外務員、AFP、宅地建物取引士

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