昨年から米国、欧州の中央銀行による利上げが続き、対象国の金利が上昇し、債券価格が下落していますね。
<各国政策金利一覧>
日本以外は急カーブです。
金利と債券価格は逆の関係にあるので、金利が上昇すれば債券価格は下落します。
例えば、金利1%の債券を持っているとして金利が上昇して2%になってきたとします。すると100円持っていれば1円しかもらえなかったものが2円もらえることになるので、現在の低い金利の債券は魅力が減って売られます。
従って今後金利が上がるであろうと多くの市場参加者が思っている局面では債券価格は下がります。
市場の債券価格もかなり下げてきたので、もし今が金利のピークであり、今後利下げがあるとすれば、今の安い債券を買い、将来高く売ることができるかもしれません。
目次
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対象の選定1:デュレーションは長い方が価格変動が大きい
もし「ここが金利のピーク!これから債券価格は上がる!」という思いが強ければ価格が大きく上昇する可能性のあるものを選ぶと良いと考えられます。(リスク許容度に応じてなので、万人に推奨している訳ではありません。また金額を小さくすることでも調整ができると思います)
つまりデュレーションが長期の債券です。
残存期間が長い債券ほど、利回りが一定幅変動した場合に価格の変動が大きくなります。キャピタルゲイン目的で大きな値幅を取りたい場合は長期の債券が選択肢になりそうですね。
クーポンも影響してくるので残存期間=デュレーションではないですが、デュレーションが長いということは価格感応度が大きい、ということになります。
債券投資をする時には必須の指標ですね。
対象の選定2:余計なリスクを入れない
債券の最終利回りの内訳には、ベース金利(国が発行する債券の金利)と信用スプレッド(発行体の信用リスク分の金利)があります。
単純に金利の先安観だけで売買をしたい場合は、発行体が倒産した場合の信用リスクなど余計なものは排除したいですから、ベース金利のみ、すなわち米国国債を対象とした商品が良いと思います。
社債などを選ぶと発行体の信用リスクが含まれてしまいます。
対象の選定3:売買に適しているのはETF
個別の債券は償還に際しては元本で戻ってきますが、相対取引のため割と大きな手数料が引かれます。その点では手数料が低く日々市場で売買されているETFが取引しやすいと思いす。
しかも、できれば為替レートによる影響も排除したいので、円建ての東証ETFよりもドル建てのETFだとストレートに自分のビューを表現できるかと思います。あくまでドルを持っていれば、ということになるので円建てでの投資だとこれだけ円安に動いた後の為替レートを考慮すると少し妙味が薄れてくるように思います。
具体的な商品を代表的なバンガード社とブラックロック社でETFを見ていきたいと思います。
バンガードの対象ETF : EDV
バンガード社で20年超の長期米国国債を対象としたETFはEDVになりそうです。(青枠)
同じくブラックロック社で20年超の長期米国国債ETFはTLTになります。(赤枠)
TLTとEDVを比較
どちらも長期債を対象にしているだけのことはあって、デュレーションが長いですね。
TLTは16年、EDVは24.1年もあります…!
ここから仮に金利が2%上下したらEDVは50%弱の価格変動があるということになります。なかなかの値動きですね。
TLTとEDVは横並びで議論されることも多いですが、この2者はそれなりに性質が異なるように思いますので、取れるリスク量によって金額を調整などした方が良さそうです。
EDVのチャートです。今回サポートラインだった70ドルあたりを割りました。
また70ドルを上抜けられずにまた落ちてくるようなら少し買っても面白いかも?しれませんね。
先日のCPIで金利上昇は打ち止め、早くも利下げ期待に盛り上がっていますが、何があるか分からないところ。
金利がここからどんどん上がってかつてのように10%のような世界になるとは想像しがたいものの、突発的に5%を超えていく可能性も否定できないかなと思います。10年債のチャートですと5.3%、次は6.7%あたりがあるのでもしそういう場面があればできればひきつけてから、もしくは打診買いが安心かなと思います。
どうしてもやらなければ資産形成できないというものでもないので、ここがピークであればそれはそれでやらなくても良いと思いますし、そのような目線で良いかなと思います。
基本的には長期資産形成には株を持っていることが重要と思います。