全世界株とS&P500どちらに投資すべきか~30年の年成長率の比較

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インデックス投資とは

インデックス投資とは、市場の動きを示す特定の指数(インデックス)の動きに連動を目指す投資信託やETFに対する投資のことです。

インデックス投資を行う最大の理由は、なんと言ってもアクティブファンドよりも運用成果が良いというデータが出ている点です。(これは重要なので別記事にしようと思います)
それ以外にもアクティブファンドに比べて手数料が安い、小額から投資が可能、といったメリットもありますが、私が感じる大きなメリットは以下2点です。

一つのファンドで分散投資が可能

インデックスの中には多数の銘柄が入っていますので、一つのインデックスファンドに投資をすることによって自然と広範な分散投資が可能となります。MSCIのオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)では世界の株式市場から代表的な2884銘柄が採用されています。

With 2,884 constituents, the index covers approximately 85% of the global investable equity opportunity set.
(現在2,884銘柄が採用されており、グローバル の株式市場の約85%をカバーしています)

MSCI index factsheet

市場や企業の栄枯盛衰を自動的に反映してくれる

インデックスファンドでは国ごとの株式市場の大きさに合わせて構成比率が決まります。その中でも銘柄ごとの時価総額に合わせてその加重平均で構成比率が自動的に決まります。したがって、全世界株の場合は、株式市場の大きさが縮小している国は自然の構成比率が下がり、拡大している国は構成比率が上がります。MSCI ACWIでは年に2回、5月と11月に成銘柄の追加・削除やウェイトの変更を行っています。

インデックス投資で期待できる利回り

ではこれらのメリットのあるインデックス投資を行うにあたって期待できる利回りはどの程度でしょうか。昨今の米国株インデックスでは10%を超える利回りが出ていますが、数十年単位での資産形成を目指されている方も多いでしょう。長期的にはどの程度が期待できる水準なのか確認したいと思います。

以下はマネックス証券での投信積立人気TOP5です。1位のeMASIS Slim 米国株式が連動を目指すS&P500と2位のeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)が連動を目指すMSCI ACWIについてみていきたいと思います。

出所:マネックス証券

S&P500の年平均成長率は30年で7.6%

こちらがS&P500の長期チャートと過去10年~30年間の年平均成長率です。概ね7.5%程度ですが、過去10年は特に高くなっています。金融政策が緩和的な環境だったので自然ですね。既に引き締めに入っているので直近10年と同じような高成長率は期待できないと思います。
30年の長期で見ると7.6%です。

  • 2013年~2023年の10年間:9.6%
  • 2003年~2023年の20年間:7.5%
  • 1993年~2023年の30年間:7.6%

出所:Yahoo!finance S&P500 1985年からのチャート

MSCI ACWIの年平均成長率は30年で5.6%

MSCIのACWIの1987年12月を100とした時の2022年11月までのフォーマンスです。
100が630.918となり、約6.3倍になっています。

年率リターンは以下の通りで、6%前後です。こちらも直近の10年は少し高くなっていますが、30年の長期では5.6%です。
S&P500よりは少し劣りますね。

  • 2012年~2022年の10年間:6.6%
  • 2002年~2022年の20年間:5.9%
  • 1992年~2022年の30年間:5.6%
    (取れるデータの関係でS&P500と一年ずれています)
出所:MSCIホームページ 1987年からのACWIチャート

配当再投資を含むとS&P500は10%、ACWIは7%

上記のデータは価格データから単純に計算していますので配当再投資を含んでおらず、これを含んだ場合はもう少し高くなると思われます。実際はVanguard社の、S&Pに連動したETFであるVOOのAverage annual total returnsは配当再投資を含んでいますので直近10年で12.16%になっています。しかし、こちらは2010年7月に設定されたファンドなのでそれ以前のデータが取れないため、20年、30年の長期で投資した場合にどうかというのが見れません。

出所:Vanguard HP

同様にVanguard社の全世界株インデックスファンドであるVTも過去10年で8.11%のトータルリターンとなっており、MSCIのデータからの計算される6.6%よりも高くなっています。こちらも2008年に設定されているのでそれより過去からの長期データは取れません。ちなみにVTのベンチマーク(連動を目指すインデックス)は「Spliced Total World Stock Index」となっており、複数の世界株インデクスを組み合わせているようです。

それぞれ直近10年間で見ると、配当再投資を含むことによって
S&P500:9.6%が12.16%に2.5%分上昇
ACWI:6.6%が8.11%へ1.5%分上昇
しています。
かなり大雑把ではありますが、30年分の年成長率にこの配当再投資による上昇幅を加えると

  • S&P500:10.1% (7.6%+2.5%)
  • ACWI:7.1% (5.6%+1.5%)

あたりでしょうか。

成長率ではS&P500に優位性、問題は今後も高成長が続くか?

過去の成長率ではSP500に投資した方が高い成長率を享受できました。問題は今後もそれが続くかどうか、ですね。インデックス投資のセオリーとしては広範に投資をする全世界株投資でしょうし、世界株インデックスであれば今後米国市場の存在感が薄れてきた時には自動調整してくれます。現状は世界株でも既に60%が米国市場です。インデックス投資をするのであれば基本は世界株に投資をしつつ、米国(または他の特定の国、セクター、企業)に個人的に強い見通しを持っていれば追加でトッピングするのが正攻法だと思います。

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MISA

MISA

第1子出産後、保育園に入れなかったため2011年から投資を開始。3児の母でワンオペ育児中。FXからスタートし徐々に時間を使わずにお金を生んでくれる資産の構築にシフト。インデックス投資、太陽光発電、海外不動産、国内不動産、個別債券、海外保険、FX。マイクロ法人運営。
保有資格:証券外務員1種、米国証券外務員、AFP、宅地建物取引士

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