ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハザウェイの年次株主総が米中部時間5月6日午前、米ネブラスカ州オマハで開かれました。
誰でも1株でも持っていれば株主総会に参加するチケットが4枚もらえるということなので、一株買ってオマハに家族で行って賢者の薫陶を受けるのも面白そう!と思ったのですが、一株49万ドル(6600万円、1ドル135円)もするのですね、、、。
ロサンゼルスの戸建てを買うには足りませんが、ダラスの戸建ては買えそうな金額ですね。
いずれにしても気軽に買えるものではなさそうです。
株主でなくても今はオンラインで誰でもライブで見れるのでありがたいですね。92歳のウォーレン・バフェットと99歳のチャーリー・マンガーはまだまだ現役で洞察に富むお話をされていました。
この中で米国の成長、ドルの基軸通貨としての位置づけ、AIの進展、などいくつか今後の投資に参考になりそうな質問がありましたのでシェアしたいと思います。
目次
米国の今後の進歩について:またアメリカに生まれたい
これには残念ながら直接的に参考になる回答はありませんでした。色んな問題があるとしても過去よりも現在は進歩しているし、選択肢があるなら現代のアメリカにまた生まれたい、と言っています。
“The U.S. is capable of doing remarkable things and it wouldn’t surprise me if it do it again.”
“米国は驚くべきことをする能力があり、再度同じことが起こっても驚かないだろう。”“The U.S is a better place to live than it was when I was born…We have to refine, in a certain way, our democracy as we go along…But if I still had a choice … I’d want to be born in the United States and I’d want to be born today”
Warren Buffett,2003年バークシャー・ハザウェイ年次株主総会
“アメリカは、私が生まれたときよりも住みやすくなっている…我々は、ある意味、民主主義を磨きながらやっていかなければならない…しかし、もし私にまだ選択肢があるのなら…、米国で生まれたいし、現代に生まれたい”
また常々、アメリカと反する賭けはするなということは言っています。
“In its brief 232 years of existence … there has been no incubator for unleashing human potential like America…Despite some severe interruptions, our country’s economic progress has been breathtaking.
Warren Buffett, 2021年年次書簡
Our unwavering conclusion: Never bet against America.”
“232年の短い歴史の中で、アメリカほど人間の潜在能力を解き放つインキュベーターはない…いくつかの厳しい中断にもかかわらず、我が国の経済的進歩は息をのむほどだった。
私たちの揺るぎない結論:アメリカに反対の賭けをしてはならない”
米ドルの基軸通貨として地位について:他の選択肢はない
「米国がインフレと戦っていると主張しながらも何兆ドルもの紙幣を刷っている一方で、中国、サウジアラビア、ブラジル等の国はドルから離れようとしている。ドルが基軸通貨ではなくなる日は来るか」という質問でした。
若い10代?とおぼしき女性からの質問でしたね。よく勉強されているし、こういったところで質問の機会を得るのは人生の若い段階の経験として良いですね。バフェットも「あなたにここに座っていくつか質問に答えてもらった方がいいですね。」と返しています。
この質問には明確に「ドルの他に選択肢はない」と答えています。
“I see no option for any other currency to be the reserve currency”
Warren Buffett,2003年バークシャー・ハザウェイ年次株主総会
“基軸通貨としてドルの他に選択肢は見当たらない”
また、チャーリー・マンガーは日銀が国債や株の大量購入を行っている日本の金融政策についてコメントにしていて、こちらは「真似すべきではない」と言っています。耳が痛いです、、、。「(日本)経済は停滞しているが地獄に落ちている訳ではない」、ともしています。
“I really admire Japan … but I don’t think we should try to imitate it.”
”日本は尊敬しているがそれを真似すべきではない”
Charlie Munger,2023年バークシャー・ハザウェイ年次株主総会
AIについて:懐疑的、だが新技術は不得意分野?
AIの将来についての質問は、チャーリーに振られていました。チャーリーは昨今の「AI革命」とも呼ばれるブームについては距離を置いて見ているようです。
“We’re going to see a lot more robotics in the world. I’m personally skeptical of some of the hype in AI. I think old fashioned intelligence works pretty well”
Charlie Munger,2023年バークシャー・ハザウェイ年次株主総会
“ロボット はこれからもっと増えていくでしょう。 私は個人的に、AIの過大報道には懐疑的なところがあります。昔ながらの知能は、かなり有効だと思う”
しかしこのAIの見方については注意が必要かと思っています。
バークシャーは長い目で見れば、下図の通り過去58年間でS&Pに対して圧倒的な高パフォーマンスを出しています。当時100万円を投資していれば現在は370億円(!)になっている計算になります。
しかし、バークシャーの利益がもっとも伸びたのは1960年代~90年代でとりわけ1976年~80年にかけての5年間で圧倒的なパフォーマンスを出しました。バフェットが40代~50代の頃です。
直近10年のバークシャー株のパフォーマンスはS&Pとあまり変わらず、むしろ少し劣っていたところが最近キャッチアップしてきました。
直近10年はバリュー投資よりもITのようなグロース株が強い時代でした。バークシャーは現在はアップルを保有していますが、早くから現在の巨大テック企業に目をつけて投資をしていた訳ではありません。バフェットのスタイルはバリュー投資なので、新しい技術のグロース株を見抜くのはあまり得意ではない(投資スタイルが違う)ような印象があります。
新技術についての見方はそのような前提で聞いておいた方が良さそうです。