まとまったドル(または円でも)できた場合に米国投資をするにあたって、不動産と株式のどちらが有利か整理したいと思っています。
数年前までは減価償却の簡便法が使えたので、減価償却を取りたい人にとっては、22年超で木造割合が高い物件を選択すれば、着実に上昇する資産で大きな減価償却を取れたのでとても良い投資でした。しかしこの税制は封じられてしまったので、その点は不動産の魅力が減少しました。
しかしそれでもこれまで着実に上昇し、今後も先進国で唯一人口増が予想されている米国なので、不動産も良い選択肢であることは変わりないと思っています。
以前に一度まとめたのですが、10年の期間で見ていたためにもう少し長期で確認する必要を感じています。個人的には長期保有を前提としているためです。
特に不動産は売買にあたって手数料も株式より高いため、問題が特になければ短期売買を繰り返す必要性を特に感じていません。
現地に住んでいれば物件取得してリモデル後短期間で転売するフリップも楽しいように思いますが、遠隔だと厳しいですね。
目次
超長期ではやはり株式
こちらは1980年から約40年間のS&P500とケース・シラー・ホームプライス・インデックスの推移です。株が4200%、不動産が620%です。
このチャートにたどりつく前に色々と計算してたのですが、この圧倒的な差を示すチャートで「やはり株」と思いました。
株はやはり伸びる時の勢いが強いです。
ただしこれは配当や家賃等のインカムを考慮していない、資産価格での比較です。
賃料収入は配当よりも大きいですが、不動産の場合は費用と資本構成によって(借入の割合や金利)によってネットインカムが変わってきます。
カリフォルニア州不動産を比較対象にしましたが、CAGRは株の方が圧倒的です。
2000年からの20年では同程度
では全部株でいいじゃないかと思いますが、2000年以降に絞ると景色が違って見えます。
直近20年では同程度の資産価格の伸びを示しています。
その上、不動産は上下動が少なく安定的です。
手数料やエスクロー等の取引コストが高かったり、償却を取ると日本での税金が高くなるデメリットがあるのですが、税率や借入金利等仮定をおいてシミュレーションしてみたところ同じ価格上昇率であればトータルで見て不動産の方が良いと思いました。
ここでは主にレバレッジの効果が大きいと思います。
上昇率を基準に考えると、各種前提条件をおいてシミュレーションしたところ、株のCAGRが8%以下なら税後の手残りは不動産の方が良く、9%以上なら株が良いと見ています。
不動産のリセッションへの耐久性は注目に値する
これは区分や戸建てを合わせた全取引価格の推移を示しています。
グレーの陰になっている部分がリセッションの期間です。
注目すべきは2000年のITバブル時は株価は半分程度になりましたが、その期間も不動産価格は上昇していたということです。
<全米の不動産価格の推移>
<カリフォルニア州不動産価格の推移>
<テキサス州不動産価格の推移>
2008年の金融危機時は不動産のサブプライムローンが原因となった危機だったのでさすがに下落していますが、それでも実は株よりも下落幅は少なく済んでいます。ボトムを打つまでは不動産の方が長くかかっていますが。
2000年から20年の株価は、2013年に高値更新するまでの間、ITバブル崩壊とリーマンショックがありずっと上下動しています。
この期間に株だけを持っていると精神的には結構つらい期間が長く続いたのではないかと思います。
株を中心に据えつつも、この点を評価して資産の一部を不動産に振り分けておくことは意味があると思っています。
今国内ではハワイやカリフォルニア州の物件に絞ってローンを出す金融機関があります。先日問い合わせたところ、ローン割合は年収によりけりだが最大50%ということでした。
既に物件を保有していればそれを含めてもう少しローン割合を高めることも可能そうです。
ペーパーアセットに比べて手間がかかるのがデメリットですが、減価償却による節税効果も小さくなったとはいえまだありますから、個人(法人)の税率や資本構成を加味して候補の一つとして見ておいて良いと思います。