72の法則をご存じでしょうか。投資の世界ではよく知られた法則ですが、投資のリターンを考える時に暗算で使えて、資産が増えていくのにかかる時間のイメージを持つときにとても便利です。
お金が2倍になる年数 × リターンの年率 = 72
で計算をします。
目次
年率リターンから投資額が2倍になる年数が分かる
リターンごとのイメージを持つためにいくつか例を挙げます。
7%の場合:
72 ÷ 7 (%) = 10.2 (年)
3%の場合:
72 ÷ 3 (%) = 24 (年)
0.3%の場合:
72 ÷ 0.3(%) = 240 (年)
米国株などは過去は平均する10%弱なので7%程度は期待できるかもしれません。10年で2倍になるイメージです。
最近の米国債は税後で3%程度のリターンの商品がありますが、年率3%だと2倍になるのにかかる年数は24年ですから、約四半世紀かかるということになります。安全なものはその分時間がかかるのが分かります。24年後は何歳になっているか、と考えますね。
0.3%は現在の日本の個人向け国債変動10年の金利です。
3%のちょうど10倍になりますので240年かかります。何も無いよりは良いですが、日本国債を買っているだけでは自分が生きているうちに資産形成することはできなさそうです。
一定期間後に2倍にするには何%のリターンが必要か分かる
逆に、何年で倍にしたい、という目標があればそのために必要な年率リターンは以下の通りになります。
5年の場合:
72 ÷ 5(年) = 14.4(%)
10年の場合:
72 ÷ 10(年) = 7.2(%)
20年の場合:
72 ÷ 10(年) = 3.6(%)
30年の場合:
72 ÷ 30(年) = 2.4(%)
「あなたのお金が5年で倍になります。投資しませんか?」
と言ってくる人がいたら14.4%のリターンを保証していることになります。非常にリスクが高いか、ほとんど詐欺だと思った方が良いでしょう。伝説の投資家ウォーレン・バフェットの過去50年の平均リターンは19%だそうです。一般の世界では瞬間的にそういう数字が出ることがあっても、数年、数十年と続けることができるのは彼くらいではないでしょうか。継続的に15%、20%といったリターンはほぼあり得ないと考えた方が良さそうです。
20年の3.6%くらいになると選択肢が色々とありそうですね。
ちなみに国民の年金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の目標としている運用利回りは「賃金上昇率+1.7%」です。保険料収入と年金給付が、賃金水準の変化に応じて変動するため「賃金上昇率」を要素に加えているので少し複雑に見えますが、要は「実質的な運用利回り(スプレッド)」は1.7%が目標ということです。
逆に借金をした時の増え方がイメージできる(怖くなる)
消費者金融の金利は一般的に18%です。すごく高いですね!
これを72の法則に当てはめると
72 ÷ 18(%) = 4(年)
たった4年で借金が倍になってしまいます!恐ろしいスピードですね。なぜ消費者金融からお金を借りてはいけないのか分かります。
金利は味方にするもので決して敵に回すものではないですね。
(なお、72の法則でのリターン、金利は複利になります。)