出力制限がついに三大都市圏で実施、太陽光発電事業への投資はやめるべきか?

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MISA家では2015年から投資として太陽光発電を行っています。
そのうちの一つは中部電力管内にあるのですが、数日前についに中部電力パワーグリッド(PG)が出力制限を行ったというニュースを見て「ついに来たか、、、」と思いました。

出力抑制がかかっている間は発電していてもそれを電力会社に売電することができません。
中には「出力制限されると売電収入が減るリスクがあるから太陽光発電はやめた方がいい」というアドバイスをする人もいますし、太陽光発電事業所の売買の仲介事業者はそれを理由の一つに挙げて「早く売却した方が良い」と勧めます。ではこれを理由に太陽光発電はやめるべきでしょうか?


私としては継続で良いと思っています。

出力抑制とは

電力は常に全体の発電量(需要)と使用料(供給)でバランスを取る必要があり、このバランスが崩れると大規模な停電につながる恐れがあります。それを避けるために電力会社は需要が少なく、供給が多くなることが予想される場合は、一時的に電気の買取を抑制します。

まずは調整の効きやすい火力で調整しますが、その次にバイオマス、次いで太陽光・風力、最後に原子力・水力・地熱の順番となっています。原子力・水力・地熱は出力抑制が技術的に困難なため長期固定電源として位置づけられています。

太陽光は優先順位は低いものの、火力やバイオマスでも調整が効かなかった場合は順番が回ってきます。

出所:資源エネルギー庁

電力会社は2年程前からこの対応を進めていて、私のところにもお知らせや契約書等送られてきました。そのための訓練も行われており、訓練実施時に電話やメールがつながらなかったとなると後日電力会社から電話がかかってきて確認されます。
太陽光発電まで順番が回ってきたとしても全ても事業所が対象になる訳ではなく、対象事業所はランダムに決められるようなので、前日の16時頃にお知らせが来ることになっています。
私は中部電力で4月8日に出力抑制があったことをニュースで知ったので(お知らせが来なかった)、私の事業所は外れたようですね。
今後回数が増えると当たる可能性もその分増えてきます。

国と同じ方向を向いていればリスクは低減される

出力抑制の増加があったとしても、既に投資をしている立場であれば自分の事業所が当たらないことを祈るしかないのですが、基本的にそれほど悲惨なことにはなりづらいのではないかと思っています。

なぜなら国は2050年にカーボンニュートラルを実現することを目指しています。
その中で「2030年度の電源構成は、再生可能エネルギーは36~38%程度、原子力発電は20~22%程度、LNG火力発電は20%程度、石炭火力発電は19%程度、石油火力発電は2%程度、水素・アンモニアによる発電を1%程度と見込んでいます。」としています。
再生可能エネルギーの割合は2019年には18%程度ですので、倍増させる必要がありますね。

さらに2021年9月には資源エネルギー庁から
「再エネ出力制御の低減に向けた取組について」
と題した資料が出ています。

国としてゼロエミッションを掲げておいてわざわざ再生エネルギーの無駄を拡大する方向には進まないと思われます。収支の悪化で再生エネルギー事業者が壊滅的な影響を受け、倒産が相次ぐような事態になっていまっては国としても損失になります。今後こういった事業を掲げても付いてくる人もいなくなるでしょう。

これは私は投資においては重要なことだと思っているのですが、できるだけ基本的に国の政策、今後目指していく方向を向いたポジションを取ることが安全につながると思っています。
国の制度の改定は往々にして行われ、投資を開始した時には思ってもいなかった追加コストが発生したり、場合によっては撤退を余儀なくされることもあります。
長期になるほどに環境の変化は予想し難いです。しかし同じ方向であれば予想外の逆風で潰されてしまうということにはなりづらいはずです。

今後の展開


出力制御低減に向けては課題はあるため、しばらくの間出力制御が行われた場合の売上低下リスクは引き受けならなければならないものの、蓄電池、送電網の整備というの方向に徐々に進むのではと思っています。
送電網も増強は「2050年までの増強費用が約6兆~7兆円」と言われているようで、費用も莫大なことと期間が長いことが足かせとなりそうですが、これは電力を無駄にしないためにもいずれやる必要があると思われます。

この費用がかなり巨額なことからその財源をどうするか、発電事業者にも負担させるべきではないかという議論も数年前から行われています。これについては、投資開始時には見込んでいなかった追加費用なのでどうなるのか気にしていたところですが、どうやら「既認定FITについては、調達期間等(固定買取期間)が終了してから発電側課金の対象とする」という方向で議論が進んでいるようです。既存の事業者にとっては朗報ですね!
発電事業者は基本的には固定買取期間で投資回収できるように計画を立てているはずですのでこの期間が守られれば御の字でしょう。

/https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/080_05_00.pdf

それ以外では、差し当たってはオンライン代理制御の拡大が進むのではないかと思っていますし、期待もしています。オンライン代理制御は、パワーコンデショナーのオンライン化が進んでいる事業者がオフライン事業者に代わって出力抑制を行い、その分を代理制御したオンライン事業者に売上移転ことで調整するというやり方です。出力制御は当日になってみると、実際は一日中制御しなくても数時間で済んだということもあり得ます。遠隔地にある事業所を手動で制御していると機動的に対応できません。状況が分かってから数時間かけて移動していると結局一日中制御してしまってその分ロスが発生しますが、オンラインであれば随時対応ができます。
それでもオンライン制御に対応したパワコンに変更するのには費用がかかるのでオフライン事業者にとっては発電のロスを減らすため、また高額なパワコン変更費用を発生させないためにもこれは早めに進んで欲しいところですね。

/https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/pdf/031_01_01.pdf

投資の利益は取ったリスクに対してもらうリターン

結局どんな投資にもリスクはあります。正直色んな変化を予め予見していた訳でもないですし、勘弁してよと思うこともありますが、リスクを取らなければリターンもありません。他の投資にもそれぞれリスクもありますし、メリット・デメリットが存在します。
当たり前のことなのですが、それらを総合的に勘案して自分の引き受けられる範囲のリスクがどの程度なのか、自分の経済状況や性格を踏まえた上で検討して、納得のいく範囲で投資を行うことが大切ですね。

「国が促している方向性」という意味ではNISAやiDecoなども同じで、「自分の老後の資金は自分で用意して下さい。国の年金では足りません。そのために税制優遇を用意しますので皆さんぜひ取り組んで下さい」というのが国からのメッセージだと解釈しています。
これらもぜひ活用したいですね。

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MISA

MISA

第1子出産後、保育園に入れなかったため2011年から投資を開始。3児の母でワンオペ育児中。FXからスタートし徐々に時間を使わずにお金を生んでくれる資産の構築にシフト。インデックス投資、太陽光発電、海外不動産、国内不動産、個別債券、海外保険、FX。マイクロ法人運営。
保有資格:証券外務員1種、米国証券外務員、AFP、宅地建物取引士

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