書評シリーズもやっていきたいと思っています。投資の古典的な本もたくさんあるのですが、まずは読みやすく昨年60万部以上売れて、アマゾンでのコメントが7000件以上もある、厚切りジェイソンさんの「ジェイソン流お金の増やし方」について書きたいと思います。
とても読みやすくて、初めて投資を行う人にとっては一度さっと読んでおくと良い本だと思います。
目次
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厚切りジェイソンさんはどんな人か
テレビでもよく見かけるジェイソンさんですが経歴はどんな人なのでしょうか。
- 1986年アメリカ ミシガン州生まれ。
- 17歳でミシガン州立大学に飛び級で入学。その後、イリノイ大学大学院に進み、コンピュータサイエンス学科修士課程を修了。
- 卒業後はGE(ジェネラル・エレクトリック社)に入社、この時に会社で決められたインデックスファンドや自社株に対する投資を開始
- 投資を始めて15年、2019年35歳の時にFIRE(経済的自立と早期リタイア)
- 現在は3姉妹の父で、IT企業の役員と芸人の二刀流
経歴を見るとすごく優秀な方であることが分かりますね。子供のころは勉強が得意で宿題は帰りの車の中で済ませていたというエピソードもありました。パックンも母子家庭からハーバード大学に(おそらく奨学金を獲得して)進学してますし、言語も文化も違う異国の日本で活躍できるだけあって海外からの芸人さんは元からの能力も高いですね。
本書の概要
ジェイソンさんはかなり徹底した節約と、そこから生まれた余剰資金を、生活費3か月分だけ残した上で米国株インデックスファンドに長期継続して積み立てています。
本書では、節約のやり方、投資しているファンドとそれを選んだ理由、資産形成の目的、などについて語っています。
米国株投資の良さについて米国人が日本語で語っている珍しい書籍なので、これから投資を始める方にはお勧めです。
「ジェイソン流お金の増やし方」の要約
CHAPTER 1「Why!? お金を増やしたいのにどうしてなにもしないの?」
資産形成の重要性について書かれています。
- 投資をしていないことは一番の無駄遣いでこれを機会コストと言う
- 72の法則で計算すると、金利0.001%の銀行にお金を預けていても2倍にするには7万2000年かかる
- FIREは大金持ちになることじゃなくて不労所得で生活費を賄えること。年間支出の25倍の資産を築けば年利4%の運用益で生活費を賄える。(トリニティスタディ)
- ジェイソン流投資法はシンプル「トータル・マーケット・インデックスファンドに投資をし続けること」
CHAPTER 2「お金を増やすための最初の第一歩は支出を減らす」
節約法について書かれています。
- 資産を作るにはまずは節約から
- 支出を可視化する
- 税金の観点を持つ
- コンビニに行かない、スーパーで大量買い、安い代替品で対応、飲み会には行かない、等々
- 家族で同じ価値観を持つ
CHAPTER 3「ジェイソン流、お金を増やす10の方法」
投資法について書かれています。
- 米国株インデックスファンドVTIに長期・分散・積立投資をするだけ
- 投資信託とETFの違い。ジェイソンさんはETFを選んでいるが、初心者は投資信託の方が簡単かもしれない
- 3か月暮らせる現金を残して、生活費を除いた収入は全て投資に回す
- 米国市場は暴落をしても復活をして長期的に右肩上がりの成長をしている
- 買ったら売らないこと。分配金は再投資。
CHAPTER 4「資産形成は自分の人生を手に入れる手段」
資産形成が必要な理由について書かれています。
- 良い借金と悪い借金がある
- 子供にもお金の教育をする
まとめ・感想
第一印象としては、かなり徹底的に取り組んでいる、というものです。節約法も「本当かな?」と極端に感じる程で(芸人さんなので多少誇張されているかもしれませんが)、多くの人に真似できるものではないかもしれません。
手元に残す生活費が3か月分というのもかなり少ない方だと思います。世間では6か月という人も多いですし、家族もいて安全を考えるなら1年くらい見た方が良いかもしれません。
それから、お子さんが3人いらっしゃるので教育費は価格変動の極めて少ない資産で運用するか、預金にしておいくか、が良いと思います。本書では触れられてませんが恐らく上手く確保されていると思います。
そしてここまで徹底して高い割合を価格変動の大きい株という資産に入金できるのは、一方で安定したキャッシュフローがあるからだと思います。その点もあって、収入が不安定になりがちな芸人さんと併せて安定した給与収入の会社員もされているかなと推察しました。
どんな暴落時でも自分の投資方針を固持してインデックスファンドに入金するには、本当の意味で腑に落ちている必要があります。ジェイソンさんはリサーチやシミュレーションが趣味とのことなのでこの過程で自分の投資法に確信を持ったのだと思います。
- 徹底した節約と米国株への入金に振り切っている
- そのためには自分の行動に確信を持っている必要がある
- この過程では安定したCFが必要